吉備路をゆく

前置き

3/8に有給休暇を取って岡山へ2泊3日の旅行に行ってきました。 今回の旅の主目的は古代吉備国にまつわるものを見聞することでした。

1日目:岡山市

予定通り朝早くに出発したのに、新幹線が人身事故で止まってしまって岡山駅に着いたのは14時前になってしまいました。

JR岡山駅前にある桃太郎の像です。桃太郎の横に犬と猿がいて、肩には雉が乗っています。
桃太郎像

第一の目的は岡山市立オリエント美術館。 岡山駅から歩く予定だったのですが、少しでも時短するため、路面電車に乗って向かいました。

オリエント美術館の建物の入り口付近を撮った写真です。
オリエント美術館の建物

「シティ・ライフの始まり、オリエント」というテーマの展示が興味深かったです。 個人や村の単位で全てを賄わないといけなかったのが、様々な職能を持った人が分業することで都市化されていくという流れに沿って、各職業にまつわる品々が展示されていました。

岡山市立オリエント美術館の展示案内が掲示してあります。「シティ・ライフの始まり、オリエント」というテーマの館蔵品展と、「小さな石の世界」というテーマの小企画展の案内があります。
オリエント美術館の展示案内

次は岡山県立美術館に行く計画だったのですが、予定より大幅に遅れてしまったのでスキップして、林原美術館に向かいました。 短歌とその詠み人が描かれた絵画などの展示がありました。

林原美術館の入り口付近の写真です。
林原美術館

林原美術館から路面電車城下駅に向かう途中、岡山城が見えました。 岡山城と後楽園は昔に見にいったことがありますが、またいつか行きたいところです。

街路樹の間から岡山城が見えています。
岡山城

岡山駅近くのアパホテルにチェックインし、夕食を食べるために岡山駅の地下街へ繰り出しました。 一番街にある八閣というお店で岡山名物尽くしの定食、岡山御膳をいただきました。 そして牛窓しらす入り卵焼きを追加注文しました。 旅先ではなるべくご当地の料理を食べたいものですね。

八閣というお店の入り口の写真です。暖簾がかかっています。
八閣

お盆の左手前から右手前にご飯、お豆腐の小鉢、黄ニラのおひたし、お味噌汁が並んでいます。左奥から右奥に美星町の豚の炙り、ままかりの酢漬け、鰆のタタキと地ダコの刺身が入った器が並んでいます。
岡山御膳

上面に焦げ目がついた卵焼きが六切れお皿に盛られています。
牛窓しらす入り卵焼き

2日目:吉備の中山

翌朝の朝食はホテルのバイキング。 ままかりや、えびめしなどの岡山名物を堪能しました。

お盆の左手前にご飯、左奥にお味噌汁、右におかずのプレートを並べています。
朝食その1

左手前にスクランブルエッグを掛けたえびめし、右手前に焼きうどんと焼き魚、左奥にコーヒー、右奥にカレーを並べています。
朝食その2

透明な器に盛ったわらび餅です。
朝食その3

ホテルをチェックアウトし、岡山駅から桃太郎線(吉備線)の列車に乗りました。 この路線はいつから桃太郎線という名称に変わったのでしょうか?

岡山駅10番ホームに停車している2両編成の桃太郎線の列車です。車体は朱色のような赤っぽい色です。
桃太郎線の列車

備前一宮駅で下車し、いよいよ今回の旅の主目的である吉備の中山周辺を巡ります。

駅の外から駅舎を撮った写真です。車椅子用のスロープがあります。
備前一宮駅

吉備の中山は備前と備中にまたがる神奈備山で、古代吉備国の中心的場所です。 古今和歌集

まかねふく
吉備の中山
帯にせる
細谷川の
音のさやけさ

という歌があります。 「まかねふく」とは「真金吹く」の意味で、「吉備」に掛かる枕詞です。 吹くというのは鞴などで空気を送ることを示しているのでしょう。 この枕詞からも吉備国が優れた製鉄技術を持っていたことが分かります。 そして、それゆえに吉備国ヤマト王権に対抗しうる力がありました。

そんな吉備国を支配していたのは温羅(うら)という者で、百済の王子とも伝えられています。 製鉄技術を伝えた渡来人たちの長だったのでしょうか。 温羅の一族を討つためにヤマト王権四道将軍の一人である吉備津彦命を派遣しました。 そして吉備津彦命は見事、吉備国を平定したのです。 これが桃太郎伝説の元になっています。 吉備津彦命が桃太郎のモデルで、温羅が鬼のモデルというわけですね。

その桃太郎こと吉備津彦命を祀る神社が吉備の中山の麓、備前と備中それぞれにあります。 まずは備前一宮、吉備津彦神社です。

道路の向こうに石の鳥居があり、その両脇に狛犬が向かい合っています。狛犬は酸化鉄のように赤みがかっています。
吉備津彦神社の鳥居

境内案内図のとおり、手前に神池があってその真ん中に参道があるというのが独特ですね。

手前に池があり、池の真ん中に参道があります。池の中には参道の左右両側に小島があり、参道から渡れるようになっています。参道を真っ直ぐ進むと隋神門があり、その先の階段を登った先に拝殿があります。そして拝殿の奥に本殿があります。隋神門をくぐって階段を登らずに右の方に行くと駐車場があり、その奥に桃太郎像などがあります。
吉備津彦神社の境内案内図

池の左側の小島である亀島の先に環状列石があります。

池の左側の小島である亀島を参道から撮った写真です。渡り道の両脇には赤い灯籠が立っています。
亀島

石が割ときれいな環状に並んでいます。
環状列石

隋神門、安政の大石灯籠、さざれ石、桃太郎像、井戸など見どころが沢山あります。

隋神門を外側から撮った写真です。しめ縄が掛かっています。
隋神門

高さが11メートルもある大きな石の灯籠です。
安政の大石灯籠

ごつごつした石です。石の周りに囲いがあります。
さざれ石

遠くを見るように立っている桃太郎の像です。足元に犬と猿と雉がいます。
桃太郎像

木で蓋がされた井戸です。
井戸

また、温羅も境内社で祀られています。

小さな社です。
温羅神社

計画ではお昼ごはんを食べてから吉備の中山に登る予定だったのですが、吉備津彦神社をあらかた見終わってもまだお昼には早い時刻だったので、思い切って登山開始しました。 登山ルートは下のリンク先からダウンロードできる地図を参考にしました。

吉備の中山ウォーキングマップを作成しました!|日本遺産ポータルサイト

境内の横に登山口があります。

道の脇に吉備の中山登山口と書かれた標柱が立っています。
吉備の中山登山口

メインルートの最初の分岐を右へ行けば元宮磐座に辿り着きます。 道標があるので迷うことはありません。

登山道脇に吉備津彦神社、中山茶臼山古墳と元宮磐座などの道標があります。
メインルート最初の分岐

元宮磐座と八大龍王のある場所は開けていて、少し見晴らしの良い場所があります。 経塚はなんだかよく分かりませんでした。

大きな岩です。
元宮磐座

しめ縄で囲われた石の社です。
龍神

右前方は木々で遮られていますが、左前方は山の下の景色が見えます。上方は空が見えて、青空の半分くらい白い雲がかかっています。
元宮からの眺望

石がまとまった所がしめ縄で囲われています。
経塚と思われるもの

ここからメインルートを戻らずに、天柱岩の方に進みました。 吉備の中山はメインルートを外れると、落ち葉や粘土質の地面、苔などで滑りやすい場所が多いので要注意です。 実際、天柱岩の近くで滑って転倒しそうになりました。 天柱岩のあるところは見晴らしが良いです。

大きな岩です。
上から見た天柱岩

山の下の田畑や町、遠くの山並みがよく見えます。
天柱岩からの眺望

下からだと柱のように見えます。前面に天柱の文字が刻まれています。
下から見た天柱岩

道路(吉備の中山みち)が見えるくらいまで下りてきたものの、下山できそうなところを見つけられませんでした。 仕方がないので道路に沿って吉備津彦神社の方面に歩いていくと、ホテルの廃墟がある地点で道路に出ることができました。

天柱岩への道標があります。
登山道

山道から舗装路に出たところです。舗装路の向こうにホテルの廃墟があります。
下山地点

時間に余裕があったので、お昼ごはんを食べるために吉備の中山みちを通って吉備津彦神社の方に戻りました。 途中、晒し首を晒す場所と、ねむり石があります。 ねむり石は地震で倒れたとかではなく、別の場所から移設した時にあえて横たえたのですね。

石の台のようなものと、六体の地蔵があります。
梟首台

お題目石が横たえられています。
ねむり石

お昼ごはんは、吉備津彦神社から少し離れたところにある「うどん一歩」というお店でいただきました。 元々、ここで食べる計画だったのです。

お店の入り口です。
うどん一歩

お店の名前が付いた「一歩うどん」。 温泉玉子が桃太郎を表し、ごぼう、ちくわ、えびの三種の天ぷらが犬、猿、雉を表し、肉が鬼の群れを表しています。 というのは嘘です(いや、嘘じゃないかもしれませんが)。 天ぷらがねっとりした食感で美味しかったです。 これで980円なので安いですね。 ごちそうさまでした。

ごぼう、ちくわ、えびの三種の天ぷらと、肉と温泉玉子が入ったうどんです。
一歩うどん

再び吉備の中山みちを歩き、備前と備中の境界を流れる細谷川に掛かる両国橋を渡ってすぐの福田海(ふくでんかい)という宗教施設(?)のところから吉備の中山に登り直しました。

小さな川と緑の欄干の橋です。川の脇には細谷川と両国橋の石碑が立っています。
細谷川と両国橋

幅広で緩やかな坂の道が続いています。道の脇に藤原成親遺跡と法螺貝の井戸の道標が立っています。
藤原成親遺跡側の登山口

少し登ると分岐があります。 吉備の中山に登るルートは右が正解ですが、法螺貝の井戸を見るために一旦左に進みました。

左の谷沿いの道と右に登っていく道との分岐です。
藤原成親遺跡への分岐

道の脇に霊水法螺貝の井戸と書いてある道標が立っています。
法螺貝の井戸に続く道

山の斜面に石を組み上げて作られた構造物があります。
法螺貝の井戸

水が溜まっています。
井戸の中

法螺貝の井戸のところは行き止まりなので、引き返して先の分岐まで戻り、藤原成親遺跡の方へ進みました。

石段の上に石塔や石灯籠などがあります。
藤原成親遺跡

さらに登ると開けた場所に出ます。 そこにはダイボーの足跡と呼ばれる大きな窪地(写真では分かりにくいですが)があります。

開けた場所にある大きな窪地です。落ち葉が積もっています。
ダイボーの足跡

窪地の前に、ダイボーの足跡と書いてある道標があります。
別角度から見たダイボーの足跡

ダイボーとは大きな坊さん(大坊)の意味である。 (中略) 日本各地に伝承されている大太郎法師(だいだらぼっち)と似ている。

という説明が書いてありますが、個人的にはだいだらぼっちと同一視してもいいのではないかと思います。

だいだらぼっちは たたら製鉄と関係があるとされているようですが、ググっても もののけ姫のことばかりでちゃんとした文献は見つけられませんでした。 たたら製鉄というと出雲をイメージしますが、実はたたら製鉄のルーツは兵庫県宍粟市にあるとも言われています。 播磨国志相郡岩鍋(現在の宍粟市千種町岩野辺)という所にたたらの神様である金屋子神が降臨した後、白鷺に乗って出雲の地に行ったという伝承があるそうです。 製鉄について調べてみるのも面白そうですね。

さて、話が逸れましたが、この開けた場所の付近には八畳岩古墳、八畳岩、環状石籬などがあります。

横穴式石室の古墳です。天井石は落ちてしまっているようです。
八畳岩古墳

大きな岩がゴロゴロあります。
八畳岩

あまり綺麗には見えませんが、環状に石が配置されています。
環状石籬

吉備の中山三角点のある場所は分かりにくい所で道の横から登っていく必要があります。 鏡岩への道標が目印です。

道の横に鏡岩への道標があります。落ち葉が積もっていて、道があるようには見えません。
三角点への登り口

登ったところは開けていて、三角点の他にアンテナがありました。 そこから少し下ったところに鏡岩があります。

開けた場所の真ん中あたりにアンテナが立てられています。
アンテナ

三角点の写真です。
三角点

表面は平らですが、のっぺりとはしていなくて皺があります。
鏡岩

鏡岩から引き返して元のルートに戻り、更に進むと柵で囲われた中に穴観音があります。 穴観音の穴に耳を当てると観音様の声や潮騒が聞こえるそうですが、僕には特別な音は聞こえませんでした。

穴観音が祀ってある場所に入るための黒い柵のような門です。穴観音の説明が書いてあります。
穴観音の門

赤い前垂れが掛けられた石が四体あります。その他にも石がいくつかあります。
穴観音

赤い前垂れがつけられた手前の石の側面に穴が開いています。
穴観音の穴

そのままメインルートを進んで、備中国に入ってすぐのところに御陵(中山茶臼山古墳)、すなわち吉備津彦命の墓があります。

備前国と備中国の境を示す石の標柱です。
国境石

御陵を斜め前から撮った写真です。
斜め前から見た御陵

御陵を正面から撮った写真です。
正面から見た御陵

御陵の近くに開けた場所があって、岡山市街が見えます。

少し木に遮られていますが、岡山市街が見えます。空の大部分に雲が掛かっています。
御陵付近からの眺望

少し下ると舗装路に出るので、あとは舗装路沿いに進めば備中一宮、吉備津神社に着きます。 長い廻廊が特徴的ですね。

玉垣の切れ目から入れるようになっています。
吉備津神社の入り口

長い廻廊です。廻廊の先は少し上り坂になっています。
廻廊

頭上に提灯が多数ぶら下げてあり、階段を登ったところにしめ縄が掛かっています。
拝殿

風と月の透かし彫りが施された灯籠が木にかけられています。
風月灯籠

棒の上に鬼の顔がついています。
かなえボー

石の鳥居です。
吉備津神社の鳥居

境内に鳴釜神事が行われる御竈殿というのがあります。 鳴釜神事というのは鳴動するお釜の音の大小長短によって吉凶禍福を卜占する神事です。 吉備津彦命に討たれた温羅は首だけになっても唸り声を上げたので、温羅の首を犬に食わせてその骨を御竈殿の地中に埋めたが、それでも唸り声は鳴り響いたそうです。 ある時、吉備津彦命の夢に温羅の霊が現れ、温羅の妻に神饌を炊かせるよう告げました。 そして、幸があれば釜は裕かに鳴り、禍があれば釜は荒々しく鳴ると告げました。 これが鳴釜神事の由来です。 中は撮影禁止なので写真はありませんが、実際に炊かれているお釜や鬼の面などがありました。

神事の申し込み受付や見学時刻について書いてあります。
鳴釜神事の案内

北隋神門から出たところに矢置岩があります。 吉備津彦命が温羅と戦う時に、ここに矢を置いたそうです。

階段を下ったところに隋神門があります。
北隋神門

苔むした岩が竹垣で囲まれています。
矢置岩

吉備津神社を後にして、吉備津の松並木を通って吉備津駅へ向かいました。

道の両脇に松の木が並んでいます。
吉備津の松並木

吉備津駅からJR桃太郎線の列車に乗って服部駅で下車。 そこから宿までは徒歩でした。 吉備の中山を歩いている時にパラパラ雨が降ってきたのですが、すっかり止んで晴れの国 岡山を実感できました。

右手側に畑があり、左手側から西日が差して晴れやかです。
道中の景色

服部駅から30分くらい歩いて国民宿舎サンロード吉備路に到着。 とても綺麗なお部屋でした。 ロビーに吉備の国を支えた柱があります。 朝鮮式山城「鬼ノ城」の西門に使われた柱と同じ大きさだそうです。 旅の疲れを温泉で癒しました。

宿の入り口の写真です。
国民宿舎サンロード吉備路

ベッドが二つあり、奥の窓際にテーブルと椅子があります。
部屋

ロビーの真ん中に大きな柱が立っています。天井とは接していなくて、実際にこの柱で建物を支えているわけではありません。
吉備の国を支えた柱

夕食は花籠御膳。

三種類の刺身が盛られ、右手前にお醤油を置いています。
刺身

天ぷらや小鉢などが籠に盛られています。
花籠御膳

鍋に入ったお肉です。
お肉

お釜に入った炊き込みご飯です。
釜炊きご飯

しめじなどが入った茶碗蒸しです。
茶碗蒸し

一口サイズのショコラケーキとお饅頭です。
デザート

3日目:倉敷

朝食はバイキングです。

左手前にご飯、右手前におかず、左奥にオレンジジュース、右奥にお味噌汁などを置いています。
サンロード吉備路の朝食盛り付け例

サンロード吉備路から総社駅まで送迎バスで送ってもらいました。

総社駅を少し離れたところから撮った写真です。
総社駅

総社からJR伯備線の列車に乗って倉敷へ。 倉敷は昔の景観の中に華やかさがあって良いですね。

通りの両側にお店が立ち並んでいます。
倉敷の景観

とんぼ玉、倉敷ガラス、万華鏡などのガラス細工を売っているお店です。
ガラス細工のお店

川岸に色とりどりの傘が並べてあります。
川岸に並ぶ傘

川の向こう岸に舟が泊まっています。
川舟

お店や川沿いの景観も良いですが、観光客が見向きもしない細い路地とかも良いですね。

建物の間の路地です。
路地

建物の間の細い路地です。
細い路地

食べ歩きも倉敷の楽しみの一つですね。 ただし、串団子は美味しくなかったし、店員が感じ悪かったのでお勧めしません。 手焼き煎餅は普通だったので、スーパーで煎餅を買う方が良いですね。 それと、ゴミ箱がないので困りました。

cafe BISCUITのビスキュイセットはお洒落でオススメです。

三種類のビスケットと四種類のディップのセットです。
ビスキュイセット

アイビースクエアのお店のキューバサンドと倉敷産ごぼうのクリームスープは美味しかったです。

キューバサンドとスープがお盆に乗っています。
キューバサンドとスープセット

倉敷プリンも濃厚で美味しかったのでオススメです。

銀の器に入ったプリンです。プリンの上に生クリーム、その上にさくらんぼが乗っています。
倉敷プリン

もっコロは岡山白桃が入ったクリームコロッケで、ほんのり甘いです。 不味くはないですが、これは話のネタ程度ですね。

袋に入ったコロッケを左手で持っています。
もっコロ

倉敷観光は特に計画を立てていなかったのですが、桃太郎のからくり博物館だけは見ようと思っていました。 とても面白かったのでオススメです。

入り口は引き戸で、入り口の横にハリボテのような桃太郎があります。軒先に赤提灯がぶら下がっています。
桃太郎のからくり博物館

あとがき

今回の旅はとても充実したものになりました。 吉備路は他にも備中高松城跡を見てみたいので、またいつか訪れようと思っています。 倉敷もとても素敵な街だったので、いずれまたじっくり観光しに行こうと思いました。 書き出すとキリがないので、このあたりで筆を置くことにします。 長々とした駄文を読んで下さってありがとうございます。

対称式を基本対称式の多項式として表す問題

目標から大幅に遅れていますが,松坂和夫『代数系入門』をちまちま読み進めています. この記事では第5章§8の問題4(c)について書こうと思います. ただし,問題を明確にするために問題文を少し変えてあります.

問題

k を体とし,3変数 x_1,\ x_2,\ x_3k 上の多項式環 k[x_1, x_2, x_3] における基本対称式 a_1,\ a_2,\ a_3 を,

 \displaystyle
a_1 = x_1 + x_2 + x_3 \\
a_2 = x_1 x_2 + x_2 x_3 + x_3 x_1 \\
a_3 = x_1 x_2 x_3 \\

とする. このとき, D = (x_1 - x_2)^2 (x_2 - x_3)^2 (x_3 - x_1)^2a_1,\ a_2,\ a_3多項式として表せ.

補題1

問題の D は3次多項式の判別式の形をしています. そこで,3次多項式の判別式を係数で表すことを考えます. そのために,次の命題を示します.

命題

K を任意の体とする. そして,変数 tK 上の多項式 h h = t^3 + c_1 t^2 + c_2 t + c_3 とし, \alpha,\ \beta,\ \gammah の3つの根とする. このとき, \Delta = (\alpha - \beta)^2 (\beta - \gamma)^2 (\gamma - \alpha)^2 とおくと, \Delta = -(3 \alpha^2 + 2 c_1 \alpha + c_2)(3 \beta^2 + 2 c_1 \beta + c_2)(3 \gamma^2 + 2 c_1 \gamma + c_2) である.

証明

h = (t - \alpha)(t - \beta)(t - \gamma) = t^3 - (\alpha + \beta + \gamma) t^2 + (\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha) t - \alpha \beta \gamma であるから,

 \displaystyle
\alpha + \beta + \gamma = -c_1 \\
\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = c_2 \\
\alpha \beta \gamma = -c_3 \\

である.したがって,

 \begin{align}
(\alpha - \beta)(\alpha - \gamma) &= \alpha^2 - (\beta + \gamma) \alpha + \beta \gamma \\
&= \alpha^2 - (\beta + \gamma) \alpha + (c_2 - \alpha \beta - \gamma \alpha) \\
&= \alpha^2 - 2 (\beta + \gamma) \alpha + c_2 \\
&= \alpha^2 + 2 (\alpha + c_1) \alpha + c_2 \\
&= 3 \alpha^2 + 2 c_1 \alpha + c_2 \\
\end{align} \\

となる.同様にして(あるいは,上記の式の \alpha\beta,\ \gamma それぞれと入れ替えて),

 \displaystyle
(\beta - \gamma)(\beta - \alpha) = 3 \beta^2 + 2 c_1 \beta + c_2 \\
(\gamma - \alpha)(\gamma - \beta) = 3 \gamma^2 + 2 c_1 \gamma + c_2 \\

を得る.これより,

 \begin{align}
\Delta &= -(\alpha - \beta)(\alpha - \gamma)(\beta - \gamma)(\beta - \alpha)(\gamma - \alpha)(\gamma - \beta) \\
&= -(3 \alpha^2 + 2 c_1 \alpha + c_2)(3 \beta^2 + 2 c_1 \beta + c_2)(3 \gamma^2 + 2 c_1 \gamma + c_2)
\end{align} \\

が成り立つ.

補題2

補題1では \Delta がまだ完全には係数 c_1,\ c_2,\ c_3多項式として表されていませんが,これを解くのは困難です. そこで補題2では,補題1の特別な場合として, c_1 = 0 の場合を考えます. この場合は,

 \begin{align}
\Delta &= -(3 \alpha^2 + 2 c_1 \alpha + c_2)(3 \beta^2 + 2 c_1 \beta + c_2)(3 \gamma^2 + 2 c_1 \gamma + c_2) \\
&= -(3 \alpha^2 + c_2)(3 \beta^2 + c_2)(3 \gamma^2 + c_2) \\
&= -(9 \alpha^2 \beta^2 + 3 c_2 (\alpha^2 + \beta^2) + c_2^2)(3 \gamma^2 + c_2) \\
&= -(27 \alpha^2 \beta^2 \gamma^2 + 9 c_2 (\alpha^2 \gamma^2 + \beta^2 \gamma^2) + 3 c_2^2 \gamma^2 + 9 c_2 \alpha^2 \beta^2 + 3 c_2^2 (\alpha^2 + \beta^2) + c_2^3) \\
&= -27 \alpha^2 \beta^2 \gamma^2 - 9 c_2 (\alpha^2 \beta^2 + \beta^2 \gamma^2 + \gamma^2 \alpha^2) - 3 c_2^2 (\alpha^2 + \beta^2 + \gamma^2) - c_2^3 \\
&= - 27 c_3^2 - 9 c_2 (c_2^2 - 2 \alpha^2 \beta \gamma - 2 \alpha \beta^2 \gamma - 2 \alpha \beta \gamma^2) - 3 c_2^2 (c_1^2 - 2 c_2) - c_2^3 \\
&= - 27 c_3^2 - 9 c_2^3 +18 c_1 c_2 c_3 + 6 c_2^3 - c_2^3 \\
&= - 4 c_2^3 - 27 c_3^2 \\
\end{align} \\

と解くことができます.

問題の解

f(t) = (t - x_1)(t - x_2)(t - x_3) とすると f = t^3 - a_1 t^2 + a_2 t - a_3 であるから, x_1,\ x_2,\ x_3 は, ka_1,\ a_2,\ a_3 を付加した有理式体 k(a_1, a_2, a_3) 上の多項式 f の3つの根である.

k標数3 でない場合:
k(a_1, a_2, a_3)標数も3ではないから, s = t - a_1/3 とおくと, t = s + a_1/3 である. したがって,

 \begin{align}
f &= \left(s + \frac{a_1}{3} \right)^3 - a_1 \left(s + \frac{a_1}{3} \right)^2 + a_2 \left(s + \frac{a_1}{3} \right) - a_3 \\
&= \left(s^3 + a_1 s^2 + \frac{a_1^2}{3} s + \frac{a_1^3}{27} \right) - a_1 \left(s^2 + \frac{2 a_1}{3} s + \frac{a_1^2}{9} \right) + a_2 \left(s + \frac{a_1}{3} \right) - a_3 \\
&= s^3 + \left(\frac{a_1^2}{3} - \frac{2 a_1^2}{3} + a_2 \right) s + \left(\frac{a_1^3}{27} - \frac{a_1^3}{9} + \frac{a_1 a_2}{3} - a_3 \right) \\
&= s^3 + \left(- \frac{a_1^2}{3} + a_2 \right) s + \left(- \frac{2 a_1^3}{27} + \frac{a_1 a_2}{3} - a_3 \right) \\
\end{align} \\

となる.これを g(s) とおくと,

 \begin{align}
f(t) &= (t - x_1)(t - x_2)(t - x_3) \\
&= \left( \left(s + \frac{a_1}{3} \right) - x_1 \right) \left( \left(s + \frac{a_1}{3} \right) - x_2 \right) \left( \left(s + \frac{a_1}{3} \right) - x_3 \right) \\
&= \left(s - \left(x_1 - \frac{a_1}{3} \right) \right) \left(s - \left(x_2 - \frac{a_1}{3} \right) \right) \left(s - \left(x_3 - \frac{a_1}{3} \right) \right) \\
&= g(s) \\
\end{align} \\

であるから, x_1 - a_1/3,\ x_2 - a_1/3,\ x_3 - a_1/3g の3つの根となる. そこで補題2を用いると,

 \begin{align}
D &= (x_1 - x_2)^2 (x_2 - x_3)^2 (x_3 - x_1)^2 \\
&= \left( \left(x_1 - \frac{a_1}{3} \right) - \left(x_2 - \frac{a_1}{3} \right) \right)^2 \left( \left(x_2 - \frac{a_1}{3} \right) - \left(x_3 - \frac{a_1}{3} \right) \right)^2 \left( \left(x_3 - \frac{a_1}{3} \right) - \left(x_1 - \frac{a_1}{3} \right) \right)^2 \\
&= -4 \left(- \frac{a_1^2}{3} + a_2 \right)^3 -27 \left(- \frac{2 a_1^3}{27} + \frac{a_1 a_2}{3} - a_3 \right)^2 \\
&= -4 \left(- \frac{a_1^6}{27} + \frac{a_1^4 a_2}{3} - a_1^2 a_2^2 + a_2^3 \right) -27 \left(\frac{4 a_1^6}{27^2} + \frac{a_1^2 a_2^2}{9} + a_3^2 - \frac{4 a_1^4 a_2}{27 \cdot 3} - \frac{2 a_1 a_2 a_3}{3} + \frac{4 a_1^3 a_3}{27} \right) \\
&= \frac{4 a_1^6}{27} - \frac{4 a_1^4 a_2}{3} + 4 a_1^2 a_2^2 - 4 a_2^3 - \frac{4 a_1^6}{27} - 3 a_1^2 a_2^2 - 27 a_3^2 + \frac{4 a_1^4 a_2}{3} + 18 a_1 a_2 a_3 - 4 a_1^3 a_3 \\
&= a_1^2 a_2^2 - 4 a_2^3 - 27 a_3^2 + 18 a_1 a_2 a_3 - 4 a_1^3 a_3 \\
\end{align} \\

が得られる.

k標数3 の場合:
補題1を用いて直接計算すると,

 \begin{align}
D &= -(3 x_1^2 - 2 a_1 x_1 + a_2)(3 x_2^2 - 2 a_1 x_2 + a_2)(3 x_3^2 - 2 a_1 x_3 + a_2) \\
&= -(a_1 x_1 + a_2)(a_1 x_2 + a_2)(a_1 x_3 + a_2) \\
&= -(a_1^2 x_1 x_2 + a_1 a_2 (x_1 + x_2) + a_2^2)(a_1 x_3 + a_2) \\
&= -(a_1^3 x_1 x_2 x_3 + a_1^2 a_2 (x_1 x_3 + x_2 x_3) + a_1 a_2^2 x_3 + a_1^2 a_2 x_1 x_2 + a_1 a_2^2 (x_1 + x_2) + a_2^3) \\
&= - a_1^3 a_3 - a_1^2 a_2 (x_1 x_2 + x_2 x_3 + x_3 x_1) - a_1 a_2^2 (x_1 + x_2 + x_3) - a_2^3 \\
&= - a_1^3 a_3 - 2 a_1^2 a_2^2 - a_2^3 \\
&= - a_1^3 a_3 + a_1^2 a_2^2 - a_2^3 \\
&= a_1^2 a_2^2 - 4 a_2^3 - 27 a_3^2 + 18 a_1 a_2 a_3 - 4 a_1^3 a_3 \\
\end{align} \\

が得られる.

よって, k標数によらず, D = a_1^2 a_2^2 - 4 a_2^3 - 27 a_3^2 + 18 a_1 a_2 a_3 - 4 a_1^3 a_3 となる.

あとがき

この問題は標数が3の場合を分けて考えないといけないのが落とし穴だと思いました.

補題1は第5章§5の問題5(a)が \mathbb{Q} 上の多項式だけでなく,一般の体 K 上の多項式についても成り立つことを示しています. この記事に書いた第5章§8の問題4(c)は,この§5問題5(a)が頭に入っていれば解ける問題だと思いますが,解けずに悩んでいました. その時,シルヴェスター行列の行列式として終結式を計算することによって,判別式を求めることができるということをツイッターで教えていただきました. https://twitter.com/neruson70345238/status/1680434127601041409?s=20
教えてくださったネルソンさん,ありがとうございました.

実数全体の集合と自然数全体の冪集合の対等性

長らく放置していたブログの再開と同時に,これまた長らく放置していたやりかけの集合・位相演習をちょこっとやっていきます.

問題

\left| \mathbb{R} \right| = 2^{\aleph_0} を証明する.

証明

まず \left| \mathbb{R} \right| \geq 2^{\aleph_0} を示し,次に \left| \mathbb{R} \right| \leq 2^{\aleph_0} を示す.

前半

証明の前半では \left| \mathbb{R} \right| \geq 2^{\aleph_0} を示す. それには写像 F:2^{\mathbb{N}} \rightarrow \mathbb{R}

 \displaystyle
F(f) = \sum_{n = 1}^\infty \frac{f(n)}{3^n}

によって定め,この F単射であることを証明する.

f, g \in 2^{\mathbb{N}} とし, F(f) = F(g) とすると

 \displaystyle
F(f) - F(g)
= \sum_{n = 1}^\infty \frac{f(n)}{3^n} - \sum_{n = 1}^\infty \frac{g(n)}{3^n}
= \sum_{n = 1}^\infty \frac{f(n) - g(n)}{3^n}
= 0

となる.

ここでもし  f \neq g だったと仮定すると,  f(n) \neq g(n) となるような n のうちに最小のものが存在する. それを m とすると,

 \displaystyle
F(f) - F(g)
= \frac{f(m) - g(m)}{3^m} + \sum_{n = m + 1}^\infty \frac{f(n) - g(n)}{3^n}

である.ここで,

 \displaystyle
\frac{f(m) - g(m)}{3^m} = \pm \frac{1}{3^m}

であり,

 \displaystyle
- \frac{1}{2 \cdot 3^m}
= \sum_{n = m + 1}^\infty \frac{-1}{3^n}
\leq \sum_{n = m + 1}^\infty \frac{f(n) - g(n)}{3^n}
\leq \sum_{n = m + 1}^\infty \frac{1}{3^n}
= \frac{1}{2 \cdot 3^m}

であるから

 \displaystyle
\left| F(f) - F(g) \right| \geq \frac{1}{2 \cdot 3^m}

となって F(f) - F(g) = 0 と矛盾する. ゆえに f = g となる.

これで F(f) = F(g) ならば f = g であることが示された. よって F単射である.

後半

証明の後半では \left| \mathbb{R} \right| \leq 2^{\aleph_0} を示す. それには写像 G:\mathbb{R} \rightarrow \mathfrak{P}(\mathbb{Q})

 \displaystyle
G(x) = \left\{ r \in \mathbb{Q} \mathrel{}\middle|\mathrel{} r < x \right\}

によって定め,この G単射であることを証明する.

x, y \in \mathbb{R} とし, x \neq y とすると x \lt y または y \lt x である. どちらでも同様であるから x \lt y とすると,有理数の稠密性より x \lt q \lt yとなるような有理数 q が存在する. このとき q \not\in G(x) であり, q \in G(y) であるから G(x) \neq G(y) である. よって G単射である.

証明の完成

\left| \mathbb{R} \right| \geq 2^{\aleph_0} かつ \left| \mathbb{R} \right| \leq 2^{\aleph_0} であるから,Cantor-Bernsteinの定理より \left\{ 0, 1 \right\}^\mathbb{N} \sim \mathbb{R} であり, \left| \mathbb{R} \right| = 2^{\aleph_0} である.

どーも、にわか自転車乗りです

NIWAKAという名前の宝石店の店舗。

NIWAKA

どーも、にわか自転車乗りです。冒頭の写真はこの前、自転車のチューブや工具を買いに行ったときに通り掛かった宝石店ですが、この記事の内容とは関係ありません。

the-maya-hiker.hatenablog.com

本題は日曜日にパンク修理しようとした話です。結論から言うと、タイヤも破れていたので修理できませんでした。

修理方法はネットで検索すればいくらでも出てくるし、僕のような初心者が説明するのはおこがましいので細かいことは書きませんが、一応作業の様子を少しだけ書いておこうと思います。もし僕のような右も左も分からない、上も下も分からない、それどころか自分が何者かさえ分からない、しかし何をなすべきか(自転車に乗る)だけは分かっている、というような人がいれば参考になる可能性もあると思うので。

修理作業

パンクしたのは後輪です。ホイールを外すために、まずはブレーキを解除します。これは自転車を逆さに置く前にやっておくのが良さそうですね。

後輪のキャリパーブレーキ。

後輪のブレーキ

勾玉みたいな形のクイックリリースレバーを上げて解除します。後でホイールを付け直した時にレバーを下げてブレーキを戻すのを忘れそうになりました。気を付けないといけませんね。手順書とかチェックリストを作っておいた方が良いかも。

それから自転車を逆さに置きます。

後輪のクイックリリースレバー。

後輪のクイックリリースレバー

後輪の横にあるクイックリリースレバー(角みたいなやつ)を上げてから、反時計回りに回して緩めます。でもネットで調べたら緩めなくてもいいと書いてある解説サイトもありますね。で、あとはホイールを持ち上げて外します。この時にリアディレーラーを後ろ(ハンドルと逆の方向)に押してやると外しやすいみたいですね。初心者の僕でも簡単に外せました。

外してブルーシートの上に置いてある後輪。

後輪

ここからの作業は写真を撮っていませんでした。タイヤレバーでタイヤを外して、チューブを抜き出します。

タイヤとチューブ。補修できないほど酷く裂けている。

裂けたタイヤとチューブ

このとおり、チューブだけでなくタイヤも裂けていて、補修できるレベルではありませんでした。替えのチューブはこの前買いましたが、タイヤは買っていないので今回は修理できませんでした。

というわけで、修理はまた後日。次の休日にタイヤを買いに行かねば。とほほ・・・

臨港線跡を歩いて旧居留地でお買い物(2/12)

日曜日は雨予報だったので、土曜日に三宮へ買い物に行きました。先日、自転車のタイヤがパンクしてしまったので、替えのチューブと工具などを買わなければいけなかったのです。

臨港線跡

いつもはミュージアムロード〜HAT神戸を通って三宮へ向かうのですが、この日はHAT神戸に用事はなかったし、たまには違うルートを歩こうと思って臨港線跡を通って行きました。

臨港線の跡。遊歩道の横に線路が残っている。

臨港線跡

かつて神戸港からの貨物を運んだ貨物線ですね。しかし輸送の主流はトラックに変わり、2003年に臨港線は全て廃止となったようです。そして臨港線跡のこの遊歩道は、今は桜並木になっています。

遊歩道から撮った資材置き場。馬のモニュメントのようなものにカバーが被せてある。

資材置き場

遊歩道からふと南側を見ると、建築資材の置き場みたいなところが目に入りました。資材置き場なんてあったっけ、と思いながら見ていると、気になるものを発見。シルエットからして、どう見ても馬のモニュメントですが、一体なんなんでしょうか。人が乗っていない馬だけなので、神社の神馬とかを仮置きしているのでしょうか。

春日野道

目的地は三宮のY's Roadですが、一応サイクルベースあさひも覗いていこうと思い、臨港線跡を逸れて春日野道の方向へ。

昭和30年代前半の春日野道駅周辺の写真パネル。製鉄所や貨物線が写っている。

写真パネル

阪神春日野道駅の地下通路に昔の写真があります。

大阪ガス葺合供給所の施設。大きな球形のガスタンクが2つ並んでいる。

大阪ガス葺合供給所

大きなガスタンクがシンボルの大阪ガス葺合供給所。サイクルベースあさひの向かいにあります。サイクルベースあさひには特にめぼしい物がなかったので、写真は省略(ゴメンなさい)。

生田川の河口

目的地は国道2号線からだいぶ南にあるので、結局HAT神戸の方に戻りました。

かつて川崎製鉄で使われていたフライホイールをモニュメントにしたもの。

フライホイール

ホイール・オブ・フォーチュン、ではなくフライホイールのモニュメント。かつて川崎製鉄で鋼を圧延するために使われていたものです。HAT神戸の発展を願って寄贈されたそうです。生田川河口には他にも文化財として移設保存された小野浜町煉瓦下水道があります。

水路だった部分の両側が煉瓦造りになっている。

煉瓦下水道

前に下のリンクの記事で布引の歌碑について軽く触れましたが、写真を撮っていなかったので今回は撮ってきました。

the-maya-hiker.hatenablog.com

「たちかへり生田の森の幾度も見るとも飽かし布引の滝」という源雅実の短歌が書いてある。

歌碑

歌の一覧や解説、歌碑のみちマップが神戸市のサイトにあります(下記リンク)。

神戸市中央区:布引三十六歌碑

歌碑は前に全部巡ったことがあります。ハイキング好きな人はマップ片手に巡ると楽しいですよ。

居留地

居留地の遺産などを見ながら歩き、Y's Roadで必要な買い物を済ませ、また旧居留地の遺産を見ながら歩いていました。

文化遺産として保存された外国商館に附属していた門柱。

外国商館跡の門柱

登録有形文化財として保存されているレンガの下水管。

旧神戸外国人居留地の下水道

ところで、Y's Roadの南隣のチャータードビルにB級スポットの「突撃洋服店」という怪しいお店があったのですが、どうやら店をたたんでしまったようです。

薄暗い外から入り口を撮った写真。中は電気が点いているものの、がらんとしている。

ビルの入り口

買ったことが無い(そもそも何のお店なのかよく分かっていなかった)のでこう言っては無責任なのですが、とても面白い雰囲気のお店だっただけに残念ですね。もし昔撮った写真を発掘したら、記事にしようかと思います。

帰路

モンベルでCAMELBAKのボトルを買おうか迷って保留にした後、アクセサリカラビナを買おうと思っていたことを思い出しました。そこで久しぶりにスポーツワールドで買い物して帰りました。

これはその途中にあった美術作品。作品名は「倒立振子を安定化させる女」です。嘘です。たしか「萌」という作品名だったと思います。左手の指先から何かの植物が萌え出ているのですね。

女性の立像。左手の指先から植物が芽吹いている。

美術作品

取り止めのない日記になってしまいましたが、今後の記事の伏線も張ったのでこれで終わりにします。

楽園のカンパネラ(2/6)

日曜は前日からの寒波のせいか、とても寒い日でした。そこで楽園を目指して出かけることにしたのです。

※ この記事のタイトルのカンパネラは寒波と掛けただけで、何の意味もありません。

伊丹市昆虫館

向かう先は昆陽池公園にある伊丹市昆虫館。

昆陽池公園の小径。整備されているが舗装はされていない。

昆陽池公園の小径

伊丹市昆虫館の入口。蝶のモニュメントがある。

伊丹市昆虫館の入口

モルフォ蝶はこの世のものとは思えないほど美しいですね。

モルフォ蝶の標本の展示。羽が青い虹のように輝いている。

モルフォ蝶の標本

特別展で海洋堂のフィギュアも展示してありました。

海洋堂のフィギュアの展示。虫や怪獣などのフィギュア。

フィギュアの展示

秋の虫の鳴き声やどんぐりの見分け方の説明は勉強になります。でも覚えられません・・・。

昆陽池公園にいる鳴く虫の説明。アオマツムシやエンマコオロギなどの鳴き声が書いてある。

鳴く虫の説明

どんぐりの見分け方の説明。形や帽子で見分ける。

どんぐりの見分け方

直ぐに止みましたが、雪がちらついてきました。

伊丹市昆虫館の屋上展望台からの眺め。大きな池が見える。雪がちらちらと舞っている。

展望台からの眺め

楽園

この日の一番のお目当ては昆虫館の中にある蝶の温室でした。暖かくて蝶がひらひらと舞っているので、楽園のような場所です。

青い羽の蝶が草に留まっている。

紫やピンクの花とオレンジ色の羽の蝶。

蝶と花

温室の通路に沿って撮った写真。温室には様々な植物が植えられている。

温室

箕面公園昆虫館にも放蝶園という同様の場所がありますが、本当に楽園のようなところです。こんな楽園のような春が待ち遠しいですね。

解析概論の無理数論を読む(その2)

解析概論の無理数論を読む(その1)の続きです.

the-maya-hiker.hatenablog.com

解析概論は用語や記法が独特なので,この記事では一般的(と思われる)用語や記法に書き改めることにします.

切断の定義

まずは切断の定義です.数直線をどこか1点で切断して左(小さい方)と右(大きい方)に分けるイメージですね.


定義1
有理数全部の集合 \mathbb{Q}を次の条件1, 2に従って空でない2つの部分集合 A,\ A'に分けるとき,その A,\ A'の対を切断といい, (A,\ A')で表す.

  1.  A \cup A' = \mathbb{Q} かつ  A \cap A' = \emptyset.すなわち  \mathbb{Q} を全体集合として, A = A'^c であり  A' = A^c である.
  2.  a \in A,\ a' \in A' ならば  a < a'

また  A を切断の下組 A'上組という.

切断の下組だけで定義する

切断  (A,\ A') において  A A' は互いに補集合なので,どちらか一方を決めれば自動的にもう一方が決まります.そこで切断の下組だけを次のように定義することができます.


定義2
切断の下組  A は上に有界な空でない有理数の集合で, a \in A,\ x \lt a ならば  x \in A

上に有界というのは上に限界があるということですね.つまり  A に含まれるどの有理数もこの値を超えない,というような値があるということです.そのような値のことを上界といいます.

さて,この切断の下組の定義が妥当であることを確認しておきます.つまり定義1における切断の下組がこの定義2の条件を満たすことと,逆にこの定義2の条件を満たす集合  A とその補集合の対が定義1における切断になっていることを確かめます.


(前半) (A,\ A') を切断とする.まず  A が上に有界であることを示す. A' \neq \emptyset であるから  A' はある有理数  a' を含む.そして定義1の条件2より, A に含まれる全ての有理数  a に対して  a \lt a' が成り立つ.すなわち  a' A の1つの上界である.これは  A が上に有界であることを意味する.次に定義2の条件の残りを示す. a \in A,\ x \lt a とするとき,もし  x \in A' だったと仮定すると定義1の条件2より  a \lt x となって矛盾する.よって  x \not \in A' すなわち  x \in A である.

(後半) A を切断の下組とし, A' = A^c とおく. \mathbb{Q} は上に有界ではないが, A は上に有界なので  A \neq \mathbb{Q} である.したがって, A' \neq \emptyset である.定義1の条件1は  A' の定め方によって満たされている. a \in A,\ a' \in A' とするとき,もし  a' \leq a だったと仮定すると,定義2の条件より  a' \in A となって矛盾する.よって  a \lt a' である.これで定義1の条件2を満たすことも示された.

これは定義1と定義2が本質的に同じであることを意味します.さて,これで切断が定義されました.

有理数の切断の図示。
図1. 切断のイメージ

この図1の数直線は有理数だけなので(無理数を含まないので),灰色で描いています。有理数は整数のように飛び飛びではなく,数直線上にぎっしり詰まっていますが,それでも隙間があるということを表現しているつもりです.

その3に続く.